・あらゆる睡眠薬を飲んでもきかないという不眠症の患者さん。つねに何かのどに引っかかるというので、これは半夏厚朴湯の証だと分かったのです。半夏厚朴湯と苓桂朮甘湯合方にしたら3日で効いて、これで眠れるようになったというのです。
(『和漢漢方意辞典』2004年・547頁)
・動悸とめまいを主訴とする38歳男子。胃下垂症で、手足がふるえ、腹の力が抜けてしまったようだという。疲れやすく、動悸、めまいがある。食欲は普通。(中略)半夏厚朴湯二ヶ月で、腹に力がつき、手足のふるえ、めまい、動悸もよくなった。
(『漢方主要処方解説〔増補改訂版〕』2011年・504頁)
・33歳の婦人。前の年の秋に4人の子が百日咳にかかり、心配した。引き続き自分も関節リウマチにかかり心臓弁膜症になるおそれがあるといわれ、非常に苦にし心配した。すると、あるよる突然心臓を握られるような気がして、驚いて自分で脈を診たところ、止まっていたので、急いで医者を呼んで注射してもらったら治った。それから後は、人と30分会話しても、頭痛とめまいが起こり、食事もすすまない。(中略)半夏厚朴湯を与えると、二ヶ月で全くよくなった。
(『漢方主要処方解説〔増補改訂版〕』2011年・505頁)